ルポライターの女性が山岳ガイドに導かれてマッターホルンに登るというＴＶ番組があった。　マッターホルンはスイスとイタリアの国境に位置する標4478mのヨーロッパアルプスの山である。プロの登山家でなくても山岳ガイドがつけば登れるんだと感心した。
　この番組をみているうちに、中学校時代に先生から、「勉強は山登りに似ている」という話を思い出した。勉強は斜面の上り坂を登っているようなもので、立ち止まったら上にはあがれない、足を踏み外したら、登るどころか、コロコロと下に落ちてしまう。我慢しながら少しずつでも登っていく、次第に足も腰も強くなり、頂上に行き着ける。そんな話であった。
　確かに小学生くらいまでの山は坂もそんなに急ではないので、わりと楽に登れる。しかし中学生になると学年が上がるごとに学習の内容は多くなり、高度になっていく。坂にたとえれば急な斜面になっていく。
　さてこのＴＶ番組での山岳ガイドは勉強にたとえると先生の役目かなと思う。生徒が登山者だ。登るルートは一つではなくて何箇所かある。そのうちのどのルートが現状に適しているかをガイドは判断しながら進む。足の置き場、落石の注意をする。所々には常設のロープがついている。命綱はお互いに結んでいるのだが、このルポライターの女性は自分の足で歩き、ほぼ垂直に見える岩の壁についているロープを腕だけでよじ登らなくてはならない。山岳ガイドがひっぱり上げてくれるわけではない。　勉強もこの意識がないかぎり上達しない。
（ルポライター：一般人が興味のある事件を現地に行って、自分の目で見て、文書で表現して、一般人に提供することを職業にしている人のこと）