「春を惜しむ」、惜春という言葉がある。冬が終わって暖かくなるのが春だが、寒かったり、雨の日が多かったり、春らしい日が少ない。そして初夏になる。それで惜しむ気持ちになるのだろう。天気は変わるが、野草や雑草は規則正しくあらわれる。
　わたしは500種ほどの野草・雑草が載っている「ポケット図鑑」を持っていて、気になる植物を調べるのに使っている。野草は名前を覚えると親しみがわく。いまごろは道端や芝生に「ニワゼキショウ」がでてくる。この名前は覚えにくかったが、”庭で咳をしたでしょう”と記憶の糸をつけたら、覚えることができた。きれいだと思っていたが、もともと観賞用として渡来したものが野化したもので、花言葉は「豊かな感情」。高さ10センチほどで小さな花が気に入っている。

　道端や畑ではカタバミが見られる。ごくふつうの野草だが、花言葉は「輝く心」。また酢漿草（サクショウソウ）という生薬名をもち、消炎、解毒、下痢止めなどの作用があり、虫さされに効果がある。繁殖力が強く一度根付くと絶やすことが困難であることから、「（家が）絶えない」に通じ、家運隆盛・子孫繁栄の縁起担ぎとして家紋の図案として用いられたようである。