テレビで「幻影師アイゼンハイム」という映画を見た。幻影師とは手品師、奇術師、またはマジシャンの類である。
時代は19世紀末、オーストリアのウィーンを舞台に、手品に魅せられた家具職人の息子、アイゼンハイムがくりひろげる優雅で幻想的なラブ・サスペンスだ。映画のストーリもいいが、当時の建築物や馬車、自然の風景、さらに感情を揺さぶる音楽など、久しぶりに満足する映画を見たと思った。わかりにくい所もあったので、レンタルショップに行き、DVDを借りてきた。今度はコマーシャルも入らないので集中して見れた。それでもまだわかりにくいところは、巻き戻しをしながら見た。そうすると場面の中で見逃した人や物を発見して驚いてしまった。ちゃんと見ていたつもりなのに実は見ていなかったのだ。こうなると同じものを何度も見るのが楽しくなる。同じ場面の中に、それまで自分には見えなかった物を発見するおもしろさである。そしてやっとこの映画のテーマが「わかった」という気持ちになった。
　日々の学習も似たところがある。教科書やテキストを一度だけやってもほんとうはわかっていない。ただ「やった」だけの場合が多い。「わかった」というところまで行き着くには相当の繰り返しが必要だ。