「よく考えなさい」「なぜそうなるか考えなさい」 これは私が小学校5・6年生の時の担任だった先生が話され今でもよく覚えているた言葉だ。 日曜日を利用して「ハンマーとお弁当を持って集合」と言って、標高800メートルほどの山の川岸に沿ってハンマーで石を割りながら上流を目指して歩いたことがあった。 すると割った石から小さな貝の化石が出てきた。「海だったところが隆起した証拠だ」と話してくださった。 理科の得意な先生だったのだろうと思う。 この先生のおかげで算数や理科が好きになった。しかしいつまでたっても「よく考えなさい」は、具体的にはどうやったらいいのかさっぱりわからなかった。 中学生になっても暗記に重点をおいた学習がほとんどで、考えてはいるのだが、テストの得点がちゃんと取れていればそれでいいだろうくらいで、「よく考える」とはどういうことかわからなかった。 高校に進むにつれ、単純に解ける問題と時間をかけないと解けない問題の区別ができるようになり、やっと「よく考える」というのはいろいろな方向から考えることだと気がついた。それにはたくさんの時間と集中力が必要で、よく考える習慣は勉強だけでなく、日常の生活の中でも役に立つということを大人になってからも知ることとなった。成長の途上にある小学校5・6年生に何度も「よく考えなさい」と言われたのは、時間をかけていろいろな見方、考え方をさがすことと、「簡単にあきらめてはいけない！」という心構えを養うためだったのだろうと思う。