２月末から３月にかけて、暖かな春を前にしてまだ寒く、厳しい季節だ。高校入試はこの時期に行われる。さて「人事を尽くして天命を待つ」という言葉がある。できる限りのことをしたら、あとはあせらずに、その結果は天の意思にまかせるという心境のたとえである。塾では中学３年生の受験指導は試験の直前までやる。この数ヶ月は過去の試験問題を解き、模擬試験の練習問題にあけくれる。生徒の表情に真剣さがでてくる。この気迫が中学１年生から出ていればなあといつも思う。　　　いよいよ入試の前日、あとは神頼みだ。私の恒例になっているが、近くの観音様にお参りし、絵馬に塾生たちの合格祈願を書き入れて手を合わせる。それから一週間ほどして合格発表があり翌日は卒業パーティを教室で行う。今年も全員が時間通りに集合し、各自の進路先を確認し、さまざまな語らいの時間をすごした。これを終えるとやっと塾の一区切りができ、どっと疲れがでる。すっきりした気持ちになり、それから再度、観音様にお礼参りに出かける。今年も参拝した帰り道、ふと見上げると開花直前の桜の蕾が枝にびっしりとついていた。その蕾はこれから次の指標に向かって出発するぐんと成長した塾生たちの姿に重なるように感じた。