購読している新聞に、年に数回ほど、記憶術の通信講座の広告が掲載される。それによると記憶力は生まれつきのものだが、連想やイメージといった力を使って記憶するトレーニングをすることにより、いくらでも記憶できるのだという。記憶を作る場所は脳の「海馬」という部分で、記憶をためるところが「大脳皮質」という場所。記憶はすべて「海馬」に入るが、必要だと判断された記憶だけが「大脳皮質」に送られる。だから覚えるには「海馬」に『この記憶は必要だ』と思わせなければならない。では「海馬」はどのような記憶を「必要だ」と判断するのかというと、①「何度も入ってきた記憶」　②「強い感情のこもった記憶」　③「すでに大脳皮質に入っている記憶と関連のある記憶」この３種類だという。ふつうに暗記というと①を利用して何度も読んだり、書いたりして記憶する。時間がかかり、苦痛である。②③を利用しているのが「記憶術」である。こうした内容の広告である。この通信講座を受けなくても、ネットで調べると「記憶術」に関して具体的方法がわかる記述がたくさんあり、ある程度どんなものなのかが理解できる。塾でもやっている歴史年表の数字の語呂合わせとストーリーを組み合わせた暗記方法なども記憶術の一つであることがわかる。
　「記憶」のしくみがわかるとおもしろい。算数の「九九」はどうして覚えたか、「桃太郎」や「浦島太郎」はどうしていつまでも記憶にのこっているのか。覚えようとしなくても無意識に深く刻まれてしまうイメージを記憶術は利用してることがわかる。こうした「技術」を取り入れて、その気になれば、社会の教科書、英語の教科書を暗記するのは決して難しいことではなくなる。それができなければ、①の何度も繰り返すことで、「海馬」に情報を送り続けることである。