学校で勉強する目的は、「知識の習得」と「考える力」を育てることだ。しかしこの2つが両立できないようだ。現状は知識の習得が中心の学習になっている。それは学校で行われる定期テストの問題が暗記中心であることからもわかる。ところがその知識の暗記もなかなかできていない。それは思考力が育っていないから。と堂々巡りになる。
　そこで、実質的な学習時間を増やして、学力を増進させようと、佐賀県のある小学校で、2013年11月から「反転学習」という新しい授業スタイルがはじまっている。授業の動画をいれたタブレットを自宅に持ち帰り、その動画を見て自宅で予習する。学校ではその動画でわからなかったことや、応用問題を解く。教科はまず、算数と理科から。こうすることで学校での講義の時間をへらし、時間を作り、学校の授業で生徒にきめ細かい対応をしようというわけだ。
　タブレットが学習の強力な道具になるかどうかは、動画を作る業者や教師の熱意と内容、さらに家庭での保護者の協力が欠かせないだろう。
　タブレットは英語で「tablet」と書く。意味は「平板、牌、錠剤」、大昔は文字を石板や木簡という木の板に書いた。現代は板の中に高性能な電子部品がぎっしり詰まったコンピュータとなって、電子書籍、インターネットなど、さまざまに利用されている。
さて、「蛍雪の功」といって、夜に明かりをともす油を買うこともできない貧しい青年が、蛍の光や、雪明りを使って勉強して望みを成し遂げたという中国の故事がある。便利な道具もいいが、苦労せずに自然に勉強ができるようになるはずがない。これをなしとげようという燃えるような意欲と努力の量、それらが合わさって成果は表れる。学習に役立ちそうな機器が出るたびに、こうした故事を思う。