だいぶ昔のことだが、岡崎市の美術館を訪れたことがある。その日に特別有名な絵が展示してあるというようなことではなく、岡崎まで来たからついでに寄って見るかといった程度であった。どの美術館もそうだろうが建物は大きく、ゆったりした雰囲気で時間を楽しめる。絵を鑑賞しはじめ、しばらくして、ふと音楽が静かに流れていることに気がついた。それはピアノ曲で、時折、ピッ、ピッとか、チ、チとか鳥のさえずりがメロディにからまるように入っている穏やかな曲であった。森か林の中で小鳥がさえずり、その中を散策するような感じにさせる音楽で、絵を鑑賞するのによく似うなあと感じた。誰かの有名な曲でもなく、それにしてもいい音楽だと気になり、美術館の事務所で尋ねてみると、「その音楽CDなら当館の売店で売っています。」との返事。さっそく購入し、その日から教室での準備作業のときとか、生徒たちの自習時間にこの音楽を流している。気をつけるのは音量だけで、かすかに聞こえるようにしている。 歌詞の入らない音楽は勉強するときに流してておくと集中できるようだが、曲選びには注意が必要だ。「バッハの平均律クラヴィーア曲集」を聞きながらだと、何時間でも仕事に集中できると聞いて試したことがある。また「G線上のアリア」を流して数学の問題を解くと集中できるという生徒もいた。自分に合うものをさがすと楽しくなる。さてこのCDはカナダ製で、タイトルはFOREST PIANO、表紙に Exploring nature with musicとある。森とピアノ。音楽とともに自然への探索、まさにそんな感じがする。